ガラコンプチれぽ  スサノオ




8月20日(日)


わらび座ミュージカル10周年記念公演ガラコンサートに行ってきました。

今まで上演された中から名曲を選んで披露するというもので、
勿論「アテルイ」も含まれています。
今回登場したのは4曲。

「戦いの太鼓」「三重唱」「アテルイと佳奈」「日高見わがまほろば」

です。

一番驚いたのはエミシ軍団の復活率でせうか。
愛すべき兵たちが見事勢ぞろい。
新しく加わったのは僅か1名です。
相も変わらぬ嬉しい箇所あり、といって単に懐かしいという印象には決して終わらず、
それぞれの舞台で培われたものを十分だしきってくださいました。
大概が髪を短くなさっていますが、不思議と何の違和感もありません。

増長天とは斯くやあらんと思わせるヤソシマ。
戦う女神タキナ。
そのタキナを庇い、共に誠を貫こうとするヒラテ。

自分では忘れていたと思っていましたが。
いや存外覚えているものなのですね。
そうだよここでこうしてたんだよ、 とか
あの時はこうぢゃなかったっけなぁ、とか。
観ていた時のアングルまではっきりとよみがえってきます。

今回イサシコを演じたのは、現在「義経」に藤原泰衡役で出ている上野哲也さん。
若獅子の瞳は血沸き肉踊る思いを決して隠そうとせず、
それでいて佇まいは呆れるほどに涼やかな、とても真摯なイサシコでした。

思い出のひと言で片付けられない暖かさと、目も覚めるほどの斬新さ。
ダイジェスト版ですのでフルではありませんでしたが、
何かがこみあげてくるのを禁じ得ない空間であることには変わりありません。
全員揃っての稽古期間はとても短いものだったと伺っていますが、
この完成度の高さには感服するのみです。

アテルイ役はふたり。
ひとりは当然安達和平さん、もうひとりは戎本みろさん。
DVDではヒラテ役で登場する方です。
ご本人はだいぶ緊張したらしいけれど、いやはや何をおっしゃいますか。
ゆかしさの中に闘志を秘めた雄々しいアテルイでした。
藝術劇場以来ご無沙汰の丸山有 子さん演じるタキナが、音もなく前に出てきた時の
ツーショットの綺麗さといったら・・・。

涎出るかと思いました

泰然として動じることない田村麻呂。躍動感溢れるエミシたち。
ここにしかいない、ここでしか会えない彼等にまた会えた。
至福のひと時でした。

終演後、ロビーや懇親会会場で役者さんたちから口々に言われたのは
「やっと『アテルイ』に出られました〜」。
あらまぁ・・・
それは知らなかった。
何気に憧れてたのでせうか、皆さん。
そういう位置にある作品なんだ〜「アテルイ」は。
結構すごいかもしれない、これ。


男たちの背中と、女たちの視線が、
人のあるべき姿をこんなにも雄弁に物語る。

やはり、いつか観たいものです。


 建速素戔嗚拝