タイトル | 浮世絵鑑賞事典 |
投稿日 | 2016/10/14(Fri) 02:00 |
投稿者 | 高橋 克彦 |
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10月25日にカドカワ文庫で発売されます。 学芸書なので一般書籍の棚とは別かも。
しかし、四十年も前のものがふたたび文庫になるなんて、私としてはもちろん大感激ではあるけど、採算的にはどうなのかなー、と実は思っていました。 けれどよくよく考えてみると四十年前は国芳ってだれ? という時代でしかなかったし、物書きとなってこの本が文庫化されたときも、写楽ブームは起きていたけど浮世絵全般に対する関心はと言えば、決してそうではなかった。 展示会が大混雑になるほどの現在の尋常ならざる若者たちの浮世絵人気を思うと、この本、ひょっとしたら売れるかも知れないね。
文庫の形態でオールカラーの事典なんて他に一冊もない。マール社で似たようなものを出しているが、あちらは単なる有名作品のミニ画集。 そうと気がついていればあちこちに捕捉や訂正を入れて新版にすべきだったかも、と今は多少悔やんでいるが、赤旗の連載で大苦戦の最中だったから仕方ない。 もっとも、元の白黒図版では差し支えなかったのに、カラー図版にすると退色やどぎつさが目立って、やむなく別の絵に差し替えたものが十点近くある。 その解説は新たに書き起こしたので、結構な改訂版と言えるかも知れない。 四十年前の文章と極端に異なる文体では違和感があるだろうと心配したけど、書いてみたらまったくと言っていいくらい変わりがなかった。 私に少しも進歩がなかった、ということです。 これにはさすがに、なんだかなー、という複雑さを覚えた。
なんだかんだで私にとっては大事な本に仕上がりました。 いつもは書かないけど、親戚や知人の皆さんにお勧めください。 |